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乳房のしこりについて
乳房のしこりは、乳がんの症状としてもっとも多く見られます。1~2cmほどの大きさに成長すると、気づく方も増えていきます。乳がんでもしこりができますが、乳腺炎などの良性の病気でも見られます。乳腺にできるしこりの80~90%は良性だと言われています。また、左右同じような場所にある場合は、乳腺の一部である可能性も考えられます。
良性のしこりの一部は比較的弾力があり、ころころと動く傾向が見られます。これに対して乳がんのしこりは、表面がでこぼこしていてかたく、周辺に根が張ったようで動かない、という特徴があります。ただ、自己判断は難しいため、しこりが確認できた場合には、すぐに宝塚市小林の斎藤内科へご相談ください。
乳がん以外に考えられるしこりの種類
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫は、乳房の代表的な良性腫瘍です。10代後半~40代の人に多く起こり、乳がんと疑われる可能性も多くあります。乳腺線維腺腫のしこりは、コロコロとした形で触るとよく動きます。特別な治療は必要ありませんが、しこりが急速に大きくなる場合は、手術で摘出することもあります。
葉状腫瘍
葉状腫瘍は、乳腺に発生する比較的稀な腫瘍です。 この腫瘍は、良性・境界性・悪性の3つのタイプに分類されます。初期のものは乳腺線維腺腫と似ていますが、急速に大きくなることが多いのが特徴です。
通常は摘出が必要で、完全摘出を行います。ただし、葉状腫瘍は腫瘍のみをくり抜いて摘出するだけだと再発リスクが高まるため、腫瘍の周りに少し正常組織を付け、腫瘍をくるむように確実に摘出します。乳房全体を占めるほど大きな腫瘍の場合、乳房全切除術も必要となります。
乳腺炎
乳腺炎は、乳汁のうっ滞や細菌感染によって起こる乳房の炎症です。赤く腫れたり、痛みやしこりなどの症状が見られます。特に授乳期には、母乳が乳房内にたまり炎症を起こすうっ滞性乳腺炎が多く見られます。乳頭から細菌が侵入すると化膿性乳腺炎となり、膿が出るようになります。症状を改善させるために、皮膚を切開して膿を出す処置が行われることがあります。
乳輪下に膿がたまる場合、乳輪下膿瘍が疑われます。これは陥没乳頭の人や喫煙者に起こりやすく、手術が必要になる場合があります。
乳腺症
乳腺症は、30~40代の女性に多く見られる乳腺のさまざまな良性変化のことです。乳腺の良性変化には嚢胞、乳管内乳頭腫、腺症などのさまざまな病態が含まれており、それが乳腺の一部に集まるとしこりとして触知されることがあります。しこり以外の症状としては硬結や疼痛、異常乳頭分泌が挙げられます。
男性の乳がん
乳がんは一般的に女性に多い疾患ですが、男性の乳房に発生することもあります。その割合は、乳がん全体の約1%程度とされています。特に60~70代の男性に多く見られます。
自覚症状としては、乳輪の後部にしこりや、乳頭からの出血、皮膚潰瘍、腋のしこりなどがあります。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
男性乳がんの危険因子
- 加齢
- 乳がんの家族歴
- 遺伝子異常(BRCA2、BRCA1、CHEK2、PALB2)
- 放射線被ばく
- 血清エストラジオールの増加
- クラインフェルター症候群
- 女性化乳房
- 肝疾患
- 肥満
など
女性化乳房
女性化乳房とは?
女性化乳房は、男性の乳房が女性のように発育する現象を指します。これは乳腺や脂肪組織の増大により起こると考えられています。女性化乳房でお悩みの男性は、お気軽にご相談ください。
主な症状
- 乳房の膨張や張り
- 乳房の形状の変化
- 乳首周辺の腫れや痛み
など
考えられる原因
- ホルモンバランスの乱れ(特にエストロゲンの過剰)
- 薬物の副作用(一部の抗精神病薬、高血圧薬など)
- 肝疾患や甲状腺疾患
- 遺伝的要因や肥満
など